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    その外から見れば屋根と築地塀だけのやうな家の前で、三人の男が立つてしきりと話していた。

    「なに?」

    「いや、あの晩の、ほんの三二日前です」

    「房一の仕わざではないか」と云ふことになつて、一同が手分けをして近所を探した。すると、老父が河へ下りる路の手前で馬に跨つている房一を見つけた。馬は此方へ向いてゆつくりと歩いていた。房一は父を見ると、彼の方から大声に父の名をよんで、馬上に得々としていた。後で皆が訊くと、馬は河へ下りる路の所までは楽に行つたが、そこからはどうしても下りなかつた、そして、彼が腹を蹴りつづけると、馬はくるりと向きを変へて家の方へ勝手に歩いて来たのだ、と云ふ。一同は大笑ひをしたが房一は小ましやくれた生まじめな顔で、まだ酔つたやうな眼をきらつかせていた。

    房一は面喰つて、ぽかんと口を開けた。

    徳次は人の好い、いかにもさう信じこんだやうな眼で二人を眺めた。

    と、房一はひとり言を云つた。

    半ば感心し、半ば疑はしさうに、彼は指を自分の眼に向けてみた。

    「それでは」

    「ハッパさね」

    入浴は快適だったが、あがる時が苦痛であった。越して来たのが冬だから、湯から上ると、ガタガタふるえる。とりわけ寒い日は、全身をふく余裕がなく、夢中で着物をひッかぶっていたりした。

    「おーい、火事はどこい行つたあ」こんな風に、口々に喚いていた。

    出て来たのは紅い手をした看護婦だつた。台所の方へ行つて何やらまごまごし、しばらく立つてから、

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